随想手帖

時に真面目に、時にゆるく綴っております。ちなみにオタク(腐)です。

「クラバート」(プロイスラー 1971年) 

ドイツの作家・プロイスラーの書いた「クラバート」。ジブリ映画「千と千尋の神隠し」を元ネタとなったと言われているので読んでみました。

 

 

あらすじ

物乞いとして仲間の少年達と暮らしていたクラバートはある日、不思議な声に導かれて水車小屋に行き、魔法使いの弟子になる。そこで起こる奇妙な出来事の数々を経て、最後には愛する少女への愛から、水車小屋を仕切る親方と対決をする・・・

 

結構グサリと来る系なのかと思いきや割とあっさりした印象でした。

クラバートを初めとする水車小屋の徒弟達も皆個性的でしたが、一番強い印象を感じたのは親方でした。子供の頃に読んでいたのなら「悪い魔法使いだな」という単純な感想しか持たなかったのでしょうが、この歳で読んでみると嫌いになれないキャラです。勿論、悪いこともやらかしているのですが、妙に人間臭くて・・・ある意味あの作中で一番可哀想な人だったような気もします。

クラバートを監視する際には隻眼の生き物となって現れるのですが、小さい頃に読んでいたら多分怖かったでしょう。今見ると若干ストーカーチックに見えて「おいおい」と突っ込みたくなります(笑)

クラバートと少女の愛も素晴らしかったです。クラバートが自分の気持ちを抑えて少女の名前を聞こうとしなかったのは、ただただ深い愛情によるものだったのだと思います。

兄貴分のトンダもかっこ良かったですね。こういう不安な状況の中よくしてくれる

先輩というのは非常に心強い。一見間抜けなキャラのユーローもなかなか出来る奴でした。

 

他の方の考察でもありましたが、これはまさに“親”からの自立の物語であったなと思います。親の支配を受け入れていれば、ある程度安定した暮らしが保証される・・・けれども、最後には自分の意志(愛した少女のために)でそこを振り切って外の世界へ向かうという、青少年物では割とあるテーマ。

 

また別の考察ではクラバート=千尋との見方がされていましたが、魔法使いの弟子ということで私はクラバート=ハクなのかなと思っていました。でも、親方との対決のシーンを考えると千尋要素もあるんですよね。

なのでクラバートを二人のキャラにわけたのが千尋とハクという見方も出来るかも。

魔法使いである親方は勿論、湯婆婆です。そして、湯屋で手助けしてくれる人達は徒弟達。

 

やっぱり本場の魔法系ファンタジーを読むとワクワクしますね!日本人の書いた西洋ファンタジーでも良い作品はたくさんあるのでしょうけれど、ネイティブの人にしか出せないものって絶対あるよなって。ここでのネイティブの人というのは、単にそこで生まれて育ってきたというのではなくて、両親や先祖の代からその土地に住んで、長年に渡りその文化を空気として吸収してきた・・・という意味です。

 

クラバートには元になった伝説があるのですが機会があったら調べてみたいですね。

これは子供のうちに読んで欲しい作品の一つです。

 

 

 

クラバート

クラバート