随想手帖

時に真面目に、時にゆるく綴っております。ちなみにオタク(腐)です。

「特別料理」(スタンリイ・エリン 1956年) 異色作家短篇集⑪

異色作家短篇集は全部読みました。とりあえず思いついたものから感想書いて行こうと思います。エリンの短篇集「特別料理」は20巻あるうちで印象に残っているものの一つです。

 

 

この「特別料理」・・・本編を読む前からタイトルで大体予想がついてしまう内容です。食や料理に関するホラーやミステリーというのは、大体「あのテーマ」しかないですよね。(大ヒント ~ トマス・ハリス:『羊たちの沈黙』  宮沢賢治:『注文の多い料理店』)

 

案の定読んでいるとそれを匂わせる内容がたくさんで、オチはバッドエンドとなっております。しかし、ただのホラーに終わらず格調高い文体でまとめられていて、美食学に通じる雰囲気も感じます。あのスープが美味しそうに見え、問題のアミルスタン羊さえも高級食材に見える。それ故にこのテーマを扱った作品の中では一番好きな作品です。

ALI PROJECTの「人生美味礼賛」という曲がとても似合います。料理店の店長・スビロー氏は東洋人・・・というか中国系の人ですよね。ステレオタイプな中国人の姿が思い浮かぶ。(「~アルね。」とか喋ってるアレ)中国では実際に○○羊なんていう文化もありますしね・・・

 

今までは「このテーマ」のものは「羊たちの沈黙」ぐらいしか知らなかったのですが、使い古されたネタだったんですね。まあ、神話や聖書の時代まで遡れるので、そうだといえばそうなのですが・・・

 

他にも印象残った作品の感想。

「パーティの夜」は和やかなタイトルとは裏腹に一番ゾクッときたお話です。手塚治虫火の鳥・乱世編を見ているような、任天堂のゲーム・ムジュラの仮面を見ているような「無限に繰り返される夢幻の世界」という感じです。私は夢で見たことを覚えている方なのですが、その世界というのは現実のようで現実ではない世界どこか脆くて虚ろで歪んでいる・・・早く抜け出したくなるような世界です。

それを文章として書くのは実はかなり難しい作業で・・・夏目漱石の「夢十夜」みたいにあの不思議な世界を鮮明に書き出せるようになりたいですね。

 

読んだのが4月なので、細かな内容は忘れてしまいましたがどれも面白かったのは覚えています。それにしても後味の悪いお話が多かった!特に夫婦殺害物(未遂含む)が多い!もはやミステリー、ホラーの定番なの!?

他の異色作家短篇集にも言えることですが、世にも奇妙な物語」のBGMが似合うお話ばかりですね。この手のお話って日本だけじゃなかったのね。

 

 

 

特別料理 (異色作家短篇集)

特別料理 (異色作家短篇集)