随想手帖

時に真面目に、時にゆるく綴っております。ちなみにオタク(腐)です。

今日はバスティーユ襲撃が起こった日、そこで二人の男装の麗人について考えてみる。

今日はフランス革命の始まりとなったバスティーユ牢獄が襲撃された日です。1789年というのは一つの名詞となっているかのようにそれほど大きな出来事だったんですね。

 

そして、フランス革命を扱った作品は数多くありますが最も有名なものの一つに漫画・「ベルサイユのばら」がありますね。私は大学時代にこの漫画に出会い、物凄く熱中しました。それからヨーロッパに興味を持ったほど。少女漫画の金字塔ですが、大河ドラマとしても秀逸だと思います。池田理代子先生の創作キャラはオスカル、アンドレ等の数名で後はほとんど実在or実在のキャラがモデルの人ばかりなんですね。案の定、かっこいい男装の麗人・オスカル様の虜になったわけです。中性的・両性的なキャラへの憧れが芽生えたのはまさにオスカル様のおかげ。

 

池田先生はオスカル様の他に、長編歴史漫画でもう一人の男装の麗人を描いています。ロシア革命を描いた「オルフェウスの窓」の主人公の一人、ユリウスです。このユリウスですが、同じ男装の麗人でありながらオスカル様とは正反対。何が正反対なのかというと、オスカル様がヒーローだったのに対し、ユリウスはひたすら不幸で運命に翻弄される存在なのです。そのことからユリウスの人気はいまひとつで、それもオスカル様と比べられることの多い何とも損なキャラなのです。ただ、私はユリウスも好き・・・というかオスカル様とは別のベクトルで惹かれずにはいられないキャラなのです。確かにオスカル様と比べて、ユリウスはひどく弱々しい。その点も読者の方には突っ込まれているのですが、それはもう仕方ないんじゃないかと思います。それはいくつかのはっきりした理由があります。

 

①生い立ちの違い

オスカル → 両親に愛されている。男の子として生まれてくることを望まれたオスカル様ですが、息子としても娘としても両親からは深く愛されていました。他にも乳母のマロン・グラッセや5人の姉達からも愛され、大切にされています。アンドレとも最初は兄弟愛を育んでいました。ジャルジェ家は家族から使用人まで仲良しで安定。ジャルジェ家は王家を守る栄光ある伯爵家。

 

ユリウス → 貴族のアーレンスマイヤと彼の後妻・レナーテの間に生まれますが、レナーテは後に捨てられます。(ユリウスは父なし子としていじめられた経験もある)その復讐としてユリウスは男の子として育てられます。レナーテはアーレンスマイヤの長姉・マリア・バルバラと歳が近い。(言い換えれば、アーレンスマイヤは自分の娘と同じ年頃の女性に手を出した) 跡継ぎとしてアーレンスマイヤ家に迎えられるも当初の兄弟仲はよくもなく・・・また、アーレンスマイヤの前妻もまた不倫をして子(次女・アネロッテ)をもうけている。アーレンスマイヤ家も有数の貴族だが、色々やましいことがあったらしく作中ではそれがストーリーの要になる。

 

②男装の理由・周囲との関係

 

オスカル → 跡継ぎとして、父から持てる限りのものを与えられた。周囲にも男装している女性として公言している。その上で周囲ともある程度良好な関係を築いている。 

ユリウス → 上記のとおり復讐のため男の子として育てられる。勿論、周囲へは絶対秘密。本人は女の子に戻りたがっている。

 

③罪

 

オスカル → 軍人なので戦いの中に身を置いていますが直接的に手を下した描写有りませんし、本人も無駄な殺生は嫌っています。

 

ユリウス → 15歳にして母を守るために殺人を犯してしまう。それが彼女の運命を大きく変えてしまう。

 

ユリウスがオスカル様に比べると弱々しく、常に悲愴なオーラを纏っているのは生い立ちからして脆弱で不安定なものだったからなのでしょう。男として育てられたことで悩みながらも幸福を得たオスカル様とは逆に、奈落の底に落とされてしまったユリウス。彼女は父を恨み一度は手にかけようとしてしまうし、心の支えであった母も悲劇的な形で失ってしまいます。オスカル様は両親を敬愛している。もう・・・この二人は何から何まで違いすぎるんですよね。だから、比べて論じてしまうのは余りにもユリウスが可哀想というか・・・そして、ユリウスは女の子に戻りたいと願っていましたが、自分を慕ってくれたゲルトルードや親切にしてくれたガリーナに対しては紳士的な優しさを持っていました。また、潜伏先のミハイロフ邸が襲われた時も逃げずに戦おうとしていました。

 

凛々しくて颯爽とした美しさを持つオスカル様もかっこいいし、弱々しいけれど不安定さゆえの美しさを持つユリウスもいい。いやね、ユリウスも男の子モードの時はかっこいいんですよ!あと、終始男の子言葉(男言葉ではなく)を使っているのと、女性的な装いが少ないせいでパッと見は美少年なんです!少年性と少女性の間で揺れ動く様子がたまらなく美しいんです!オスカル様も迷いの時期があるんですが、彼女に比べるとユリウスはこう・・・ね。ちょっとでも触ると脆く砕け散ってしまうような感じなんです。

 

フランス革命の日なのにオスカル様よりユリウスについての語りが多くなってしまいましたが私はどちらも大好きです(*^_^*)

 

補足。

オルフェウスの窓」は間違いなく名作ですが、「ベルサイユのばら」に比べると大人向けでダークでドロドロでひたすら悲惨です・・・そんな悲劇的な作品なので最後生き残った人達(イザーク、ダーヴィト、マリア・バルバラ等)には幸せになって欲しい・・・そう思うのですが、そうもいきそうになくて。だって、この後のドイツはあの超有名な独裁者が出てくるのですから・・・史実とはいえこれが後味の悪さに拍車をかけているんですね。うぅ・・・切ない・・・