随想手帖

時に真面目に、時にゆるく綴っております。ちなみにオタク(腐)です。

続・「わが教え子ヒトラー」(2007年 ドイツ)

前回の記事の続きです。

 

 

前の記事では書きませんでしたが、この映画を見た動機というのは、ドイツに憧れていたからです。クラシックなどから見聞きするドイツ語は力強く、気品に溢れていました。大学の外国語の授業も全てドイツ語だったぐらい。(実際は英語より難しくて泣きながら勉強しました。それもいい思い出です・笑)

 

それでこの映画を見ることに決めました。最初は純粋に見ていたのですが・・・見ているうちに気になる俳優さんが出てきました。二人のアドルフを演じた主演の二人ではありません。

それは・・・ナチス幹部の一人、ハインリヒ・ヒムラー・・・の役を演じていたウルリッヒ・ネーテンという俳優さんです。

 

「眼帯に軍服でギプスの人、結構ナイスミドルじゃない?」

 

そんなこんなで映画が終わった後、気付いたら興奮しながらパンフレットを購入していました。英語圏以外の俳優さんってなかなか日本語の情報が手に入らないですよね(涙)

ネーテンさんは、某動画サイトでネタにされまくっているヒトラー 最期の12日間」という映画でも、ヒムラーを演じているようです。確かに似ていますが、本人的には嬉しくないでしょうね(苦笑)

 

それからもう二人の幹部、ゲッベルスシュペーアの俳優さんもイケオジ様だったので私のテンションは更にアップしました(*^_^*)

 

・・・で、このようにナチスの重要幹部が三人出てくるわけですが、どうやら史実とは随分違う描かれ方をしているようです。これもおそらく監督が意図的に変えたのだと思われます。そして、その意図的に作られたキャラクター像が、史実と比較してみてみると凄い皮肉に満ち溢れているんですね。

以下、それぞれ見てみます。

 

ヨーゼフ・ゲッベルス(演:ジルヴェスター・グロート)

宣伝大臣でナチスプロパガンダに貢献した人。博士号を持っていて、作中でも「博士」と呼ばれています。この映画では、ある意味ヒトラー以上の悪者、そして黒幕として描かれています。総統への忠誠も余り見えない。史実では逃げる幹部もいる中、ヒトラーと共に自決します。つまり、「忠義者から不忠者へ」という風に変わっているんですね。これがゲッベルスに対する皮肉かと。女好きなところは同じですが(笑)

俳優さんは東ドイツ出身の方で、別の映画でもゲッベルスをやっているようです。きっとこれも本人的には微妙な心境なんだろうなあ・・・あと、東ドイツ時代も苦労が多かったのかもしれない。

 

 

アルベルト・シュペーア(演:シュテファン・クルト)

建築大臣でヒトラーの唯一の友と言われている人らしいです。この映画だと、忠誠を通り越してヒトラーに惚れているような描写が目立ちます。その姿はまるで恋する乙女のよう。最後の演説シーンでは、総統暗殺を企んだコンビ(ゲッベルスヒムラー)とは別々に、エヴァヒトラーの愛人)と一緒に座っているんですよね。これも彼がヒトラーに恋していることを表しているのではないでしょうか。

ナチスユダヤ人以外にも同性愛者も粛清の対象としていたようです。なので、シュペーアへの皮肉は「同性愛者を迫害する側にも同性愛者がいた」ということだと思います。

俳優さんはスイス出身の方です。俳優業以外に音楽関係でも色々活躍されているとか。

 

 

ハインリヒ・ヒムラー(演 ウルリッヒ・ネーテン)

眼鏡に口髭の内務大臣。親衛隊の長官もやっていました。この映画の中で最も個性的な出で立ちで描かれているのが彼ではないかと思います。なんせ、「ハイルヒトラー」状態で固定されたギプス、左目は眼帯という一度見たら忘れられない姿なんですから。(この凄い状態で演技をした功績か、ネーテンさんは最優秀男優賞を取っています)

史実のヒムラーは与えられた職務を忠実にこなしていたため「忠臣ハインリヒ」と言われていたそうです。「ハイル」で固定された右手はそれを表しているのだと思いますが、一方で敗戦間近になると独断で敵側と和平交渉をしようとしたり、逃亡したりするなどお世辞にも「忠臣」と言えない行動を取っています。そして、この逃亡時に変装の手段として「眼帯」をつけていたそうです。これが、「裏切り」の象徴だと思います。なので、ヒムラーへの皮肉は「体の左右で、全く別の性質を表している(右は忠義、左は反逆)」ということだと思います。

ネーテンさんがすっかり気に入った私は、彼の出ている映画飛ぶ教室(2003年版)」(原作:ケストナーを見ました。この映画では、ネーテンさんは生徒思いの正義先生を演じています。そして、親友の禁煙さんを演じているのがセバスチャン・コッホいう俳優さん。この方は「善き人のためのソナタ」でミューエさんと共演しているんですね。作家の役で。

不思議な縁ですが、ネーテンさんはヒムラーと同じドイツ・ミュンヘン出身だそうです。

 

こうして見てみると、ナチスの幹部達も相当な皮肉を以って描かれていたんですね。

幹部以外でも同じ。例えば、グリュンバウム教授に対して常に敵意剥き出しにしている役人がいるのですが、そんな彼も教授の幼い息子には凄い優しかったり。

 

最近は自分の中で生きることについて考えることが多くなったのですが、そんな時グリュンバウム教授の渾身の一言が心に響きます。

 

「ハイル・・・マイセルフス・・・」(自分に・・・癒しを・・・)

 

これこそ、人が人として生きるための原点なんだと思います。簡単そうで難しい・・・でも絶対におろそかにしてはいけない。これなくして、人は真に幸せになることは出来ない・・・本当に心の底から実感します。

 

色々批判も多い映画ですが、私は大好きなドイツ映画の一つですね。

 

 

 

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