随想手帖

時に真面目に、時にゆるく綴っております。ちなみにオタク(腐)です。

私が考える、「アルプスの少女ハイジ」の裏の主人公とそのテーマ ①

アルプスの少女ハイジ」はリアルタイムでは見ていない世代ですが、夕方や朝のアニメ枠で再放送されていたのでよく見ました。シンプルな絵、内容でありながら人として生きることの大切さが詰まっていて、ある程度大きくなってからの方が夢中になって見たアニメです。あと壮大なアルプスの自然が鮮やかに描かれていること、食べ物がどれも美味しそうなこと(笑)も、惹きつける要素でしたね。あのチーズは一度は食べてみたいよね(*^。^*)

 

昔はハイジの視点で物語を見ていたのですが、段々年を取ってくると当然ながら視点も変わってきたりします。

 

昔の私は・・・

 

「両親を亡くした小さなハイジがおじいさんやアルプスの自然に守られ、二人の親友であるペーターやクララと共に成長していくお話」

 

と捉えていました。

 

それも一つの視点として合っているとは思うのですが、この歳になると「ハイジ」のテーマはそれだけではない気がしています。

 

・・・というのも。ついこの間まで私は「自分が自分として生きていない」という状態であり、ここ最近でようやく「自分を取り戻した」という実感を得たからです。

 

そして、「ハイジ」というアニメを思い出した時、物語の中でこの一連の流れを経験するキャラクターが二人いることに気付きました。

 

 

一人目はハイジのおじいさんです。

 

 

おじいさんは、ハイジが山に来た時はむっつりとしていてとても気難しい老人でした。村の人達との交流も断ち、彼等からも変わり者として見られ、山の小屋に引きこもっている状態でした。(おじいさんがこうなってしまったのには理由があり、アニメではぼかされていますが原作では詳しく描かれているようです。)

 

そんな日々を送っていた頃、突然ハイジの母親の妹であるデーテが幼いハイジを連れて山にやって来たのです。おじいさんにとってハイジは息子トビアスの子になります。

自身が働く身で忙しいデーテは、半ば押し付ける形でハイジをおじいさんに託します。おじいさんは最初しぶしぶハイジを引き取るのですが、自分の顔色を伺ってこない天真爛漫なハイジと過ごすうちに、その生活が楽しくなっていくのです。

気難しかった表情も和らぐことが多くなり笑顔も増えました。

おじいさん自身、きっとそんな自分の変化に戸惑い、驚いていたのではないでしょうか。「自分はこんなに笑えるのか、こんなに生きることが楽しかったのか」って・・・

 

しかし、そんなある日・・・再びデーテがやって来て、ハイジをドイツのフランクフルトに連れて行ってしまいます。富豪ゼーゼマン家のお嬢様の遊び相手とするために。

おじいさんはその日を境に、再び・・・いや、前以上に周囲に対して暗く心を閉ざしてしまうのでした。

 

時が経ち、フランクフルトの生活で心を病んでしまったハイジが帰って来ます。

ハイジとおじいさんの再会シーン・・・昔は泣かなかったのですが、大人になって見た時うるっときてしまいました・・・それもおじいさんの方に感情移入をして。(私も年取ったな・・・と思いながら)

 

それ以後、おじいさんは変わりました。以前はハイジを学校に行かせなかったのですが、クララのおばあさまにもらった本を夢中で読むハイジを見て、村の学校に行かせる決意をします。それは冬の間は村で暮らすということを意味します。

また、村人達とも少しずつ会話をするようになってきました。それもつっけんどんな態度ではなく笑顔で。

ハイジに会うことと療養を目的としたクララが山に来た時も、彼女を歓迎し、悩んでいる時はハイジやペーターでは出来ない「年長者としてのアドバイス」もたくさんしました。クララのおばあさまや、ゼーゼマンさん、お医者様といった外から来た人達とも交流を深めます。

 

昔は「おじいさんはハイジに会って凄く変わったんだ」と考えていました。

 

でも、今は・・・「おじいさんはハイジに会って、昔の・・・心を閉ざす前の自分を解放し、取り戻したんだ」って思えます。

 

ハイジ、ペーター、クララのような子供達に対して湧いてくる父性愛、自分と同じように孫を愛するペーターのおばあさん、クララのおばあさまのような周囲の人達への思いやり、そして自分が自分として生きる喜び・・・

 

本当は昔からずっと・・・おじいさんも持っていたんです。

ただ、悲しいこと、辛いことが多すぎて自分を守るために心を閉ざし、同時に本来の自分も封じ込めてしまったんですね。

 

それを最初に思い出させ、解放してくれたのが、孫のハイジだったんです。

 

ハイジがフランクフルトに行ってしまったことで、自分がどれほど彼女を愛していたか、自分にとってかけがえのない存在だったか・・・ということに気付いたのでしょう。

そのことに気付いたから、愛する孫を持つ、ペーターのおばあさんやクララのおばあさまに対しても思いやりが芽生えたのだと思います。

クララのことは特に気にかけ、様々なアドバイスをしてあげていましたが、それは彼女に過去の自分(ハイジに出会う前の自分)を見ていた・・・というのがあるのかもしれません。だから、クララの悩みや苦しみが手に取るように分かったんじゃないかな。

一見弱々しいクララにもちゃんと「強い生命の輝き」があることにはっきりと気付けたのは、実はハイジではなくおじいさんだったのかもしれません。というより、あの中ではおじいさんだけしか出来なかった。

ハイジとペーターは「人が生きていく中で直面するどうしようもない深い闇」を経験していないので、クララの深いところにある「生きづらさ」までに辿り着くことは出来なかったのだと思います。

 

おじいさんがそこまで出来るようになったのも、全てはハイジに出会ったことがきっかけです。

 

なのでこのアニメの正規の主人公はハイジであり、裏の主人公の一人はおじいさんであると私は考えます。そして、表のテーマがハイジの成長・日常の冒険」であるならば、裏のテーマとは「おじいさんが昔の自分を解放し、取り戻す」ということ。

 

そして、裏の主人公とも呼べるキャラクターはもう一人いて、それはまた後日書きます。

 

 

 

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