随想手帖

時に真面目に、時にゆるく綴っております。ちなみにオタク(腐)です。

「二都物語」(ディケンズ 1859年)

クリスマス・キャロル」の次に読んだディケンズの小説で、革命期のフランスとイギリスの二カ国に跨る男女の愛を描いた長編大作です。

 

 

あらすじ

フランスの都パリ・・・ルーシー・マネットは生き別れになり、長年バスティーユ監獄に入れられていた父・アレクサンドルと再会する。アレクサンドルは監獄に入れられる前は医者をしていたが、長年の牢獄暮らしで半ば廃人のようになってしまっていた。二人はイギリスへ向かうが、その途中でフランスの亡命貴族であるチャールズ・ダーネイに出会う。彼はスパイ容疑で裁判にかけられていたのだが、マネット父子およびチャールズに瓜二つの容姿を持つ、イギリス人弁護士シドニー・カートンの証言で釈放される。チャールズとシドニーはルーシーに恋をするが、フランスに大革命の足音は確実に迫っていた・・・

 

 

※ ネタバレありますので未読の方、ご注意下さい!

 

 

「物語の波」に乗る前が凄くかかりますが、乗ってしまうと途端に面白くなって最後まですらすら読めます。

ディケンズの短編一つしか読んでいない私にとって、彼の技量には驚かされるばかりでした。登場人物同士をこれほどまでに上手く繋ぎ合わせられるなんて・・・しかも、その人物が皆個性的で一度読んだら忘れられないほど濃いのです!(@_@)

個人的にはテンプル銀行員のジャーヴィス・ローリー氏が好きです。温厚で世話焼きで・・・ルーシーの侍女のプロスとの遣り取りが面白かった(*^_^*)

テンプル銀行の連絡係であるクランチャーも良い味出してます。性格としてはユゴー作「レ・ミゼラブル」のテナルディエにちょっと似ているかもしれません。彼のように悪党ではありませんけれども。結構面倒見がよかったりしているので(金目当てだけど)

 

チャールズ・ダーネイはこれといって目立った活躍のある人ではないのですが、好き勝手やってきたフランス貴族の良心とも言う存在です。彼の父と叔父(双子)は貴族の身分を笠に着て狼藉ばかり働いてきました。でも、チャールズの母親は貴族でありながらまっとうな人で息子もそのように育てました。このような「貴族の良心」とも言うべき人達でさえも、革命の中では憎悪の対象になってしまうのが悲しかったですね・・・

 

この作品で一番狂気を感じたのが、ドファルジュ夫人ことテレーズです。彼女の生い立ちは不幸なものでしたが、その元凶がチャールズの父と叔父だったんですね。

(終盤、このからくりが解けていく描写は本当に見事としか言いようがないです。一見無関係そうに見えた人同士が全て一本の糸で繋がっていくのですから!)

テレーズの貴族に対する怒りと憎悪は凄まじく、誰にも止めることが出来ませんでした。反面、肝が据わっており、ちょっとやそっとのことでは動じない性格で、革命を生きるに相応しい女性でもありました。

 

さて・・・本作で「英雄」と呼ぶに相応しい男がいます。全てはこの男のための物語であったと言っても過言ではなほど。

その男とは・・・シドニー・カートンです!

あの酒浸りでだらしないイギリス人弁護士の彼なのです!

 

物語の終盤、貴族であるチャールズは革命に呑まれ、あの悪名高いギロチンにかけられそうになります。そこで、シドニーは彼を助けるために「あること」を思いつきます。全ては愛するルーシー嬢のために・・・

シドニーとチャールズは血縁でもないにも関わらず、互いにとてもよく似た容貌をしておりました。これが最大の伏線だったのです。

後はもうお分かりになったかと思います。

シドニーは壮絶な最期を遂げることになりました。しかし、彼は不幸だったのか?いいえ、違います。今まで自堕落的な生活を送っていた彼は、物語の最後で初めて「自分の使命を知って生きることが出来た」のでした。

少なくとも、チャールズとルーシー、そしてこの二人の子はシドニー・カートンという男のことを生涯忘れないでしょう。シドニーは愛する女性の記憶の中に深く、忘れられないほどに刻まれたことは間違いありません。それは彼にとって何にも勝る幸せだったのではないでしょうか・・・

 

 

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※ 以下、非常にどうでもいい余談。シリアスな気分を壊されたくない方はスルーして下さい~

 

 

このように素晴らしい作品を多く残したディケンズですが、モンティ・パイソンのスケッチではあれこれとネタにされています(笑)

オスカー・ワイルド邸」のスケッチではオスカーとホイッスラーにいじられる役だったり。

「どいつがバカだ」のスケッチに至っては・・・

 

司会(エリック・アイドル)「サー・ウォルター・スコットの『アイヴァンホー』を出します。この中からバカを見つけて下さいね!」

『アイヴァンホー』の欠片もないカオスでおバカな映像が流れる(飛び交うバカブザーの音)

司会「はい、○番の方、正解です~!正解は・・・作者のウォルター・スコットでした~♪」

スコット「こんなものは書かん!ディケンズじゃあるまいし!」

ディケンズ「どういう意味だ?」

 

 

モンティ・パイソンにはこのようにマニアックなイギリス文化が随所に出てきます!モンティ・パイソンのスケッチを理解したい方は、ディケンズの作品も読んでおいて損はありません!

 

 

 

 

二都物語 (新潮文庫)

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