随想手帖

時に真面目に、時にゆるく綴っております。ちなみにオタク(腐)です。

プリンス・ジョンが割と史実通りだった件

今、イギリス史の本を読み進めています。時代はジョン失地王が出てくるところです。

ジョン王はイギリスでも相当評判が悪いらしく、「縁起が悪いから」という理由で後世の王たちに「ジョン」という名前の者がいなかった・・・という噂まであるいわくつきの人物です。

 

・・・で、タイトルの「プリンス・ジョン」とは、ディズニーの「ロビンフッドに出てくるヴィランズのことです。ロビンフッドはちょうど、リチャード1世&ジョンの時代を扱った物語であり、ジョン王が悪役として登場しています。

ロビンフッドはディズニーのと、ケヴィン・コスナー主役のものしか見たことがありません。後者のラスボスはノッティンガム公なので、ここでは前者を見ていきます。

 

ディズニーのプリンス・ジョンはイギリス国王ながらも、ダメダメな王様として描かれています。

 

★マザコン(パニックになると指をしゃぶる癖が発動)

★ヘタレ(戦いになると我先に逃亡、いつもロビンにしてやられる)

★暴君(過剰なまでの課税・徴税、タック神父に対する暴挙)

 

・・・とまあこんな感じです。

本編を見れば分かるのですが、余りにもアレに描かれていて「相当脚色されてるんだろうな」という感想を持ちます。

しかーし!イギリス史の本を読んでいると・・・プリンス・ジョンの描かれ方はあながち間違いでもないのかも・・・という見方に変わります。

 

史実と照らし合わせて見てみましょう。

 

★マザコン→ 愛憎入り乱れた感情を母親に対して抱いている。というのは、彼女は兄リチャードを溺愛していたから。これは史実もそうだったようで、リチャードは母親の最愛の息子だったようです。(でも、ジョンは父ヘンリー2世に可愛がられたという一面もあります)

 

★ヘタレ→ 兄リチャードが生きていた頃から、あっちこっちの陣営をふらふらしていた。政治面も余りにもやらかしたため、イングランド貴族たちと揉める。仕舞にはあのマグナ・カルタを認める羽目に。 また、集めた税金を度々ロビンに奪い返されて、財産を失うという描写はフランスにおける領土喪失(ノルマンディ、アンジューなど)の史実と重なるかも。

 

★暴君→ 史実でも過剰な課税をしていた。また、ロビンを捕えるためにタック神父を処刑しようとする・・・という神をも畏れぬ暴挙に出る。史実でも、ヨーロッパがカトリックを信仰していた時代に、ローマ教皇に喧嘩を売るということをやらかしている。(その結果破門を言い渡されました・苦笑)

 

こうして見てみると・・・プリンス・ジョンというヴィランズは、ジョン王が「やらかしたこと」を凝縮し、子供にも分かりやすく、デフォルメして作られたキャラなのかも・・・という憶測が浮かびます。

 

まだイギリス史関連の本は1,2冊しか読んでいないのでジョンに対する見方は一面的でしかありません。(近年では再評価する動きも出てきているとか)

 

評判が悪いのは、戦好きの兄リチャードのツケを払わされたという側面もあるそうです。リチャードも結構好き勝手やっていたそうですが、優れた武勇から獅子心王の異名を取っているので、その部分で相殺されているのでしょうね。負の部分を補うだけのカリスマ性があった。それに比べるとジョンは平凡な人間だったのかもしれません。

 

「人望がなく、ノルマンディ諸侯たちはフランス国王に付き、そのせいでジョンは領土をごっそり失った」と言われています。(「失地王」の異名の由来) でもね・・・海峡を跨いだ統治って凄く大変そうじゃないですか。目と鼻の先にフランス国王がいるわけだし。そんな統治、心身共に相当図太く才知に恵まれていないと無理でしょう。ジョンだから・・・というのではなく、遅かれ早かれ「イングランド王」はフランスの領土を手放さなければならなかったのではないか思います。

 

確かにジョンは国王の器ではなかった。でも、ここまでダメっぷりを貫いているとプリンス・ジョン同様どこか可愛らしく見えてきます。(当時の家臣や国民にとってはいい迷惑だったのでしょうけれど)

 

そういえば、作中プリンス・ジョンがよく「ママ~」と母親のことを思い出して言っていますが、このママこそアリエノール・ダキテーヌ」だったのですね!

最初フランス国王と結婚したけれど、後に離婚してイングランド王ヘンリー2世と再婚。彼女は莫大な土地をフランスに有していたため、ヘンリー2世にとってこの結婚は「棚ぼた」だったわけです。それが後のアンジュー帝国ね。

 

創作物と史実が繋がると面白いな~ヽ(^。^)ノ