随想手帖

時に真面目に、時にゆるく綴っております。ちなみにオタク(腐)です。

「血は冷たく流れる」(ロバート・ブロック)異色作家短篇集⑧

ロバート・ブロックはアメリカの作家でヒッチコックの有名な映画『サイコ』の原作者だそうです。

映画自体は見ていませんが、あのシャワーシーンだけは見ました。アニメ・カービィでパロディにされていたので。

文章・構成に無駄がなく、冷たく切れ味の鋭いナイフのような文体、まさにタイトルに相応しいストーリーが揃っております。

 

※ネタバレあります!

 

『芝居をつづけろ』 

とある大統領殺害を実行した男の話。

この大統領が殺害されたということと、実行者がシェークスピア劇俳優だというのはこのお話で知りました。

 

『わたしの好みはブロンド』

ある紳士のモノローグ。紳士はかなりのおじいちゃんですが、その口調に年寄り臭さは一切見られません。(この和訳がうまく物語の核心を突いている)

紳士はブロンド女性が好き。超ブロンドフェチ。(というか作者が?)

上記の年齢の割に年寄りじみた口調のない紳士、そして異様にブロンドが好きということが最後の最後で分かります。

「異色~」では何回か出てきたあのネタです。そしてSFでもある。

 

『野牛のさすらう国にて』

西武時代かと思いきや、そうでない時代。

「本を読むこと」「知識を得ること」・・・それは本当に正しいのか?

読書が好きで探究心の強い私にとっては耳の痛い内容です。

なんかこう・・・胸がきゅうっとなるような静かな悲哀が漂っています。

これは現代人に読んで欲しい一作です。

 

『最後の演技』

猟奇系です。腹話術をテーマにしていますが全然可愛らしくありません。

 

『うららかな昼下がりの出来事』

不思議の国のアリス』をモチーフにしたお話です。

可愛らしいタイトルとは裏腹にオチが黒い一品。

そして、『夢の売り買い』というファンタジックビジネスが出てきます。

これを読んだ時、大長編ドラえもんの『夢幻三剣士』を真っ先に思い出しました。

以前、どこかのサイト様で藤子先生の本棚の写真を見ました。

その中にこの『血は冷たく流れる』があった記憶が・・・これもまたドラえもんの系譜の一つなのでしょうね。

 

『針』

ある男が電話帳を捲っては、そこに載っている名前に針を刺していく。刺された者は・・・

まさにデスノートですね。

現代のアニメ・漫画は改めて焼き直しなんだなと思わずにはいられません。

「斬新!」と感じるアイディアも実は先駆者がいたりしてね。

 

『フェル先生、あなたは嫌いです』

不思議なタイトルだな~と思っていましたが、マザーグースの歌が元ネタらしいです。

ある男性が精神科医にかかります。しかし、その精神科医とは実は自分の潜在意識が作り出した「もう一人の自分」、というか副人格なのです。

そして最後は主人格が副人格に吸収されてしまう・・・というオチ。

ある意味ジキルとハイドみたいなものでしょうか。

「分裂したもう一人の自分」というネタも結構前からあるんですね~。

 

 

前作のジョン・コリアも後味の悪いブラックなお話が多かったですが、コリアの方はイギリス的皮肉を煮詰めて凝縮した感じです。

ブロックは先述のとおり、一切の隙も無駄も見せず、冷たく切れ味の鋭いナイフで理知的に攻めてくるような淡々とした残酷さがあります。

 

 

 

血は冷たく流れる (異色作家短篇集)

血は冷たく流れる (異色作家短篇集)